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第五話 抵抗 「恐れているわけではない!!」 何度受け流されても、敦盛はひるまなかった。知盛がわざと攻撃してこないのだとは気づいても、それを不思議に思う余裕は無かった。 「恐れてはいない。ただこれが罪だと分かっているから!」 迸るのは、今まで幾度となく飲み込んだ言葉と感情。 「いくらでも後悔は募る。絶望は消えない。生きているうちにあの人と出会うことなど、叶わない願いだと知っている!」 「だからお前は引き返したんだろう?」 「っえ…」 不意に知盛が反撃を再開した。 瞬く間に形勢が逆転されそうになり、敦盛は必死で耐える。 「分かってないんだよ。お前を阻む俺を、迷わず打ち倒せないならな。さぁ、打ってこいよ」 「―っ!」 「絶望は消えない。だからお前はどうする?」 攻撃の手を緩める前より、さらに手数を増やしてくる。 押されてしまう。 それでも、敦盛はもう止まるつもりもなければ止めることもできなかった。 「絶望は消えない。たとえ引き返しても、罪と罰がまた私を苛む。それでも願いが叶うとは限らない!けれど私は、それでも!!」 もう無我夢中だった。 そうでなくては知盛の相手などできはしない。 何も考えられない。だから。 「―それでも!!私は、神子と共に在ることを、望む!!」 だからそれは、一番叫びたかった言葉だった。 06.09.24 |