哀感ペデラスト







哀感ペデラスト
「・・・・・・・・・骸さんの馬鹿!なんで、なんで…」

「何とでも言えばいい」



厚く重い空気の中、わたしと骸さんは立っている。

そのまま崩れるようにして座り込むわたしを
蔑んだ瞳で見ていることくらい視界が濡れていてもわかる。


骸さんはさっき人を殺してきた

でもそんなこと日常茶飯事。


愛する人が人殺しをするなんて気持ちがいいことじゃない。

だけどそこまで深入りするほどの事でもなかった。
だって殺された人とわたしは他人だから。


でも 今回は違った。
殺されたのは わたしの 仲間



「骸さんは、仲間でもなんのためらいも無く殺すんですね」

「それが任務でしたから」


硬くて冷たいコンクリートの壁に骸さんの低くて甘い毒みたいな声が響いてきえる。


「じゃあ」




“じゃあ 任務だったらわたしのことも殺すんですか”




いえなかった。

何のためらいも無く肯定されるのが
怖くて怖くてたまらなくていえなかった。



「じゃあ、なんですか?


その あまりにも 平穏すぎる声に驚いて
思わず骸さんを見上げる

空中で視線がぶつかってマーブル模様みたいに混ざり合って
逸らそうとしても、逸らせない。

そのあかとあおの瞳でさえもわたしにじゃあのつづきを求めてる。




「・・・・・ッ!」

もう耐えられなかった。限界だった。
骸さんの無音の問いかけに、わたしの心は

ぐしゃ、とおとをたてて

おとをたてて無残に潰れて 悲しみが溢れる。


そのままわき目も振らずに部屋を飛び出した





廊下の真ん中 背中に笑い声がぶつかり
その清々しいまでの笑い声が
骸さんだと分かるまでに数秒かかった。




わたしは捕まった。





貴方という名の檻の中



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