何かしらねーけど、今日はいつもと違う感じがした。分かりやすく説明しろって言われてもそれはできないけどとにかく 何かが違った。その何か、が分からないからなんとも言えねえけど。朝起きて、家を出て、そうふと思う。 そう、何かが・・・一体、なんだ?






見た感じいつもと何の変哲もない朝(いつもと違うのは、俺の胸ん中だけ) 学校に着いてドアを開け、教室に入った途端同じクラスで一緒にいる奴らがワッと伸し掛かってくる勢いで前からやって来た。 俺は退くのも忘れて吃驚していると案の定その勢いに圧され倒れる(朝からざけんじゃねえ!)。ドサッ、


「何だよ朝からテンション高えなお前ら。」

「ニュースニュース!」


俺は苦笑いして乗ってきた奴等を思いっきり押し退け、体勢を整えた。


「ああ?何だよニュースって。・・・くだらなかったらまじシめる。」

「心ちゃん怖い!朝から怖い!いやあ・・・なんか俺らのクラスに今日転校生来るっぽいんだよ!」

「え、マジ?」

「ああ、しかも女子!なんか噂によるとめちゃくちゃ可愛いらしいぜ。」

「なっ、俺らのクラスの女子なんて比べもんになんねえぐれぇに!」


そうケラケラ(ゲラゲラ?)笑い出す周りの男子たち。でも俺はあんまりそのノリに乗れなくて。


「・・・でもそれ本当か分かんねぇんだろ?所詮噂だし、そこまで期待しねえ方がいいって。」

「いや、でも女子な事はマジ!」


周りの奴らはギャーギャー騒いでて、俺はどっちかというと見た目によらず冷めてる方だから期待はしてない。 ・・・視線を感じ、辺りを見渡せばクラスの女子が俺らの集団を睨み付けてた。 、ああほらまたいつものように男子と女子の言い争いが始まる。まあ、そりゃ、女子の気に触る事言ったからしょうがねぇけどよ。 そんなクラスの奴らはガキっぽいけど俺はその光景を外野で見てるのが面白かった。 そのまま俺は自分の席に座る。俺の席は真ん中の列の一番後ろで、結構この席、俺のお気に。


ガラッ、と勢いよく前のドアが開く。 うお、ヤマンバが来た・・・!ヤマンバとは、生徒同士で言われてるまぁあだ名みてえなもん。そんでもって俺らのクラス担任のババア。 容姿はもう如何にもうるさそーなオバサン。でもキャラ濃くて俺は嫌いじゃねえけど、はははっ。


「席つけー!転校生を紹介するわよー!」


今日も威勢良いでけぇ声が教室中に響く。朝からうるせえなあ、ほんと。すると辺りがざわざわとし始める。 前の席の男子が、ギッとイスを鳴らし後ろを向いて俺に話し掛けてきた。それに気付くと俺は携帯の画面からそいつに目線を移す。


「賭けすっか?ま、俺は可愛いと思うけどな。」

「だから保証できんのかよ。・・・その目で見たんじゃねえだろ?」

「ねえけどよ。なんとなーく、勘ね、勘。」


そう二ィっと笑って前の席の男子は前に向き直した。 それを確認して俺は机に顔を伏せた。あー、でも、こいつの勘当たんだよなー・・・。 ・・・別に可愛いかとか可愛くねえとか・・・そんなんはどーでも良い。別に転校生に興味ないわけじゃねえし女に 興味がねえわけでもねえけど・・・刹那、昔の記憶の一部が頭を過ぎると、皆の声が耳に入ってきて俺は我にかえる。


「おおお!!」

「えっ可愛い!普通にやばいやばい!」

「付き合ってくれー!」

「なあなあ心!可愛いぜ転校生!やっぱ俺の勘当たったわ!」

「・・・あー、そっか。」


前の男子がまた後ろを向いてきて、伏せている俺なんてお構いなしに俺の机をバシバシ叩きながら言ってきた。 俺は適当に返事を返した。うるさい男子に女子が「静かにしなさいよ!」っつってんのが耳に響いた。


「心、見て損はねえよマジで!」


「じゃあ、自己紹介して。」

「あ、はい。」


・・・ん? 何だかしんねーけど俺はその声にどこか懐かしさを感じ。そのまま伏せていようと思っていたのに気付けば顔が上がっていた。 顔を上にあげてその声の主を見るなり、俺は唖然としてしまう。まるで時間が止まったかのように。


「えと、っていいます、仲良くして下さい。・・・宜しくお願いします!」


やんわりと笑う笑顔にもうクラス全員がやわらかい空気につつまれて黒板の前に立つちいさな彼女に見蕩れていた。 俺は思わず勢い良く席を立った。ガタン、!


「、おい心どうした?」

「嘘・・・・・・だろ?マジかよ・・・、」

「は?おーい心くーん?」

?あのなんか!?」


眠い目を何度も擦り瞬きしても、数メートル先にいる転校生は露骨に一直線で俺を見る。 クラス全員俺の方を吃驚した顔で向いてきて、さっきまで騒々しかった狭い教室はシ―ンと静まり返ってしまった。


「しっ知り合い!?」

「なんで心がっ!?」

「えっと・・・、」


俺の事を大きな目で真っ直ぐ見つめて、は口を開いた。


「俺、だよ。覚えてねえか?」

「・・・?」

「心だよ、殿蛇・・・心。」


は少し黙って心をじっと見ると、何かを思い出した様に顔をハッとさせる。


「あっ!心だあ−!」


と、今日来て一番大きい声をあげた。








休み時間になると、一斉に男子も女子もの周りに集う。 俺はというと、いつもの奴らが“何でお前とちゃんが知り合いなんだ、いつからなんだ” と言わんばかりに迫って問われる。 ・・・俺だってまさかこんなとこでと再会するとは思ってもみなかった。 今、の事が気になって気になってしょうがない。話したい事がたくさん、溢れる様に出てくる。聞きたい事も、言いたい事も。 もっともっと近くにいきたい、もう一度俺だけを見つめるあの視線がほしい、独り占めしたい、今、今話したい・・・と! ・・・そう。気が付けば俺はイスから立ち上がりの方に向かい、小走りしていて。 ・・・人を押し退けて。 自分の席に座ってるの左手首を掴んで、そのまま集う集団からを引っ張り出した。


「ひゃっ・・・、!?」

「ごめんちょっと来てくんね、」


周りの奴から「あっ、ちょ、待て!」とか言われつつも、お構いなしに俺はを連れ去る。
廊下にもを一目見ようと他のクラスの男子やら女子やらがわらわらしてた。 そんな奴らをも押し退けて俺はを連れて走り出した。廊下を走る俺の足音との足音が響いた。








来た先は裏庭の、あまり人気のない場所で且つサボるには好都合な場所。 掴んでいた手首は自然に離した。きっと今、クラスの奴は俺らを探してんだろーな。 さらさら見付かられる気はなくて、更にもっと人目につかない様な所まで歩いていく。 この辺でいいだろ、と納得したところで2人近めな距離で、横に並んで座った。 1秒でも長くと話がしたかった。1秒でも早くこうして2人になりたかった。


「・・・どうしたの?心・・・君。」


最初に口を開いたのは、少し遠慮がちな


「何で君付けすんの?いいよ呼び捨てで。俺も呼び捨てにして良い?」

「あ、うん・・・。」

「てかさ、まさかとまた会えると思わなかったんだけど。」

「そうだねえ。もまさか心と会えるとは思ってもみなかったよ。」


相変わらず元気そうな感じを漂わせる、優しい笑顔の。 俺はそんなの顔を久しぶりに近くでじっと見つめた。あの頃の俤残る顔に溢れてくる懐かしさ。


「お前、綺麗になったな。」

「・・・そんな事ないって。」


はにかんで笑うがすっげ、可愛くて。


「そういやさ、あん時は俺ら小さかったよな。小3くらいだっけか。」

「そうだねーたぶんそれぐらいだったと思う。自分でも憶えてる事に吃驚だよ、あはは。」


俺とは小学校が一緒でクラスも一緒だった。 はその頃から可愛くて性格も良くて男子からも女子からも人気があった。 でも俺とは話すきっかけがなかったし、まるで接したりもなかった。 だけど、いつかは話してみたいと俺は密かに思っていた事をどうやら神様は見捨ててなかったようで。 あの時・・・そう、初めて席が隣になった時だった。 は笑顔で俺に話し掛けてくれて・・・それから仲良くなったんだ。話してみたいけど話しかけられずにいた俺に 向こうから話しかけてくれた事がガキながらにほんとに嬉しくて、信じられないのと嬉しいのとでどうかしちまいそうだった。 実った淡い想いは、じょじょに大きくなっていったんだ。 てゆうか、今でも俺の事憶えててくれたに俺は嬉しくて。俺だけずっと憶えてたら嫌だなあ、って、思ってた。


、まだ覚えてるよ。心が何かやらかして先生に怒られて泣いたの。」


その彼女の言葉に忘れてた昔の記憶が蘇る。それと同時に恥ずかしくなってくる。


「なっ!うるせえよっ。んなもんなんで憶えてんだよ!」

「あははっ・・・てか心その頭何?」

「ああ、これ?似合うっしょ赤。」

「心、赤1番好きだもんね。赤の色鉛筆すぐ使っちゃうからによく借りてきたよね。」

「・・・まあなー。にだけ借りてたよ、そういえば。」


その言葉には俺の顔をまじまじと見た。は不思議そうに聞いてくる。


にだけ・・・?」

「おう。・・・、あの時は幼すぎて気持ちが区別できなかった。だけどが転校して・・・俺その日大泣きしたんだ。 転校するなんて大事な事その日には皆に知らせただろ?だから相当ショックだった。 そりゃ、皆泣いてたけど・・・俺は誰よりも負けないぐらい辛くて泣いてた。がいない学校生活を考えただけで涙が溢れた。」

「・・・そう・・・だったんだ。」

「だからさ、また会えて嬉しいわけ。」

「ふふ、ありがとお。それはもだよ。」


ふっと少し沈黙が漂う。上を見上げれば青い空。聞こえるのは、鳥の囀り。 そんな静寂な空気に少し耐え切れなくなって俺は何も知らないの横で、意を決して口を開く。今なら、いや・・・今だから。


「だから、気持ち伝えるわ。」

「・・・うん・・・でも、何の?」

「俺は、が・・・、」

「ん、?」


いきなり黙る俺に焦る。顔によく出ててそこがまた可愛い。俺の顔を心配そうに覗くその瞳に映るのは、今、俺だけ。


が・・・、」


寄りかかってた壁の方を向き、覆い被さる様に両手を付いて目の前にいるを見つめる。 さっきより顔が近くて・・・真横じゃなくて今は目の前にいる君。 逃げられない様に手を付いてるからかそれとも突然の事にか(どっちもか、)は少しオドオドしてる。 どうやら恥ずかしいらしく目線はキョロキョロと色んな所を向いてる。 俺が推測するに、幼い頃とは違う、この体格の差には思い知らされているように感じた。 俺と目がばっちり合うと、恥ずかしそうにおずおずとしながら俺の目を再度見つめてくれる。 小さいけど、いつの間にか君を追い越した背や。 あの頃と俤はあるけれど、髪の色だけじゃない。明らかに違うんだ。顔付き、身体付き、色々な事。 こんな俺の事、男らしいって思ってくれてっかな? 、ふと彼女の瞳をじっと見つめ直せばあの頃の純情さを欠く事なく綺麗に澄んでいるそれに吸い込まれそうで。


の目、奇麗だよな。」


大きくなる鼓動を抑えたくてしょうがなかった。それはも同じだろうか?同じだと嬉しいんだけど。


「さ、さっきの続き、言ってよ。」


この雰囲気にどうやらなにかを悟ったらしくは頬を赤く染めた。すぐそこの、斜め上の俺に、上目使いで言った。 それに俺はドキッとした。・・・おいおい、反則だっつーの。 壁に付いていた両手を離しての両頬を俺は両手で優しくそっと包んだ。 彼女は小さく震えて俯きそうになったけど、俺がそれを逃がすかという様に阻止して上を向かせた。そして、ちいさく微笑む君。


「心、手、おっき・・・、」


が言い終わるまで待たずにの唇と自分の唇をそっと重ね合わせた。


「・・・ふ、」


拒まれたらしょうがないと思ってたけど、は拒むどころか受け入れてくれた様に感じた。








離したら、俺はの目だけを視界に映した。 もその俺の眼差しに応えるように近距離で視線を絡ませる。 俺の目との目の距離は10センチもない。睫毛長えなーおい。ああ、ドキドキする。俺は小さく喉を鳴らす。


「・・・今も好きだ。」


さっきとは違う、低いトーンの声でそう囁いた。


「・・・心・・・、」

「・・・は?」

「・・・、は、・・・んん、・・・っ、」


の返事を聞く前にもう一度唇を重ねた。彼女の言葉を全部、呑みこむ様に。 すぐに離すと彼女の頭を撫でながら、俺は口角を上げる。


「・・・もう答えは分かってるよ。」

「なっ・・・も、もう!そうじゃなかったらどうするのよ!」

「そうさせる。」


そう、それは『惚れさせる』という意味。


「で?」

「・・・も・・・ずっと心が大好きだった。」


今度はから俺にキスしてきた。 それがすっげー嬉しくて(柄にもなく俺の胸は高鳴った)。頬にキスを落とした後、さっきとは違う長いキスをしてやった。 俺の舌の進入を拒まずに受け入れて、一生懸命ながほんとに可愛くて。 君にやっと触れられた・・・君の心にやっと、触れられたんだ。そして掴む事ができた。 長年の想いは常に心の何処かに置いて、そうしてここまで生きてきた。 ――――ああ。神様は見捨てなかった。俺とがこうなる事を望み、また巡り逢わせてくれたのだろう。


広い世界の平凡な俺らが、恋をして繋がった。 一度切れてしまった紐をまた結び直した。 キツく、キツく・・・、もう、2度と解けないように。




++++++++あとがき++++++++


手が早くてすみません。
でも心君はちゃんが本当に大大大好きなんですよ。
なのでつい手が出た・・・許してあげて下さい(笑)


実は最初は心とちゃんは幼馴染という
設定だったのに・・・どこで狂ったのだ?
てか普通の恋愛小説書いてるみたいで楽しかった!(笑)


ここまで読んで頂き有難う御座いました!
感想等ありましたらお気軽に拍手やコメント等
してやって下さい。お待ちしております。


2style.net