「ジェームズ」
「何だい」
「好きでした」
「ふうん」
「シリウスが」
「あ、僕じゃないんだ」

けらけら笑う眼鏡は少しうざい。父親になったのだから少しは落ち着いたのだがまだ学生時代の余韻が残っているのかしらないが戯けたように私を茶化す。ほんとうざい。リリーが紅茶を持ってくると彼女はジェームズじゃなくて私のそばに座った。

「酷いなリリー、僕の隣が不満かい?」
「貴方の隣にはハリーがいるでしょう」
「あ、ハリー抱かせて!」
「何を言ってるんだ!まだお婿には早すぎるよ!まだ1歳だよ!そこまで君はロリコンなのかい!きもいね!」
「うざいわよジェームズ」
「リリー酷いよ!愛する僕が可愛くないのかい!」
「(無視)ねえリリー抱いていい?」
「(無視)もちろん」

渡された小さな子は本当に可愛らしかった。顔全体はジェームズにそっくりだけど目はリリーの色をしている。凄く綺麗なグリーン。ずっと見つめているとジェームズから顔がにやけているよと言われた。うざったいほんと。するとハリーがぐずってきた。あやしかたがよくわからないので咄嗟にリリーにバトンタッチをした。お母さんってわかるのだろうか、途端、泣きやんだ。

「やっぱリリーはお母さんなんだね」
「きっとこの子人見知りなのよ」
「僕にはちっとも似てないね」
「顔はそっくりだよジェームズに」
「そうかい!嬉しいなあ」

あまりに嬉しそうなので少しへこんでいる私にはほんとうざったかった。私さっきからうざいしかいってないような気がする。紅茶を一口口に含むと急に切ない感情が溢れてしまって声も出さず泣いてしまった。二人に気づかれないように、髪を少しかき上げながら涙を拭いた。拭いたつもりなのに全然拭けてないのはどういう了見だろうか。もうちくしょう馬鹿じゃないの私の目ん玉。つぶれてしまえ!

「シリウスと別れてきたって本当なの」
「・・・うん」
「はあー・・・短かったね君とシリウスとの関係は」
「まあ友達時代が長すぎたかな」
「最初からシリウスは愛なんてなかったよ」
「ジェームズ、やめて」
「知ってたよ。そういわれたし。ごめん、今日は帰る。ハリーの顔見に来ただけだから」
「っ、そう。わかった。ちょっと待ってて、クッキー焼いたの」
「ほんとに!有難う!リリー大好き!」

リリーはスリッパをぱたぱたと言わせながらキッチンへと向かった。私は同時に席をたって帰りの用意をした。仕事へ直行なので少しお化粧をなおしているとハリーがよちよちした歩きでこちらへきた。化粧品が珍しいのかいろんなものを探っている。なんだか悪戯を考えているジェームズに似ているような気がして笑ってしまった。一人で笑っているとジェームズは私に近づいてきた。

「綺麗になったね君も」
「それはどうもお世辞でも嬉しいわ」
「知っていたよ僕は」
「何を?」
「君が僕を好きだってこと」

リリーが戻ってきた。(ハリーは遊びに疲れたのか眠ってしまった)彼女からクッキーを渡されるとそれを鞄にしまい、すぐに玄関へむかった。靴を履きながら二人を見上げると幸せそうに微笑んでいた。別れを告げてドアをあける。ドアが閉まるまでジェームズの顔をみていた。ほんとわかっててこういう事するんだから、うざったい。

うざい(三井)

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