「本当にあたしを愛してるなら、証を頂戴」

しんとした部屋に、あたしの声だけが空しく響いた。恭弥は動かない。苛立ちに任せてせっかく整えた髪をぐしゃっと掻き回した。今日のために選んだ紫色のドレスだって、それに合わせたメイクだって、マニキュアだって、もう既に意味を無くしていた。愛する気持ちが一方通行に過ぎないのなら、それは恋人同士などではないのは言うまでもない。今まであたしは何を勘違いしていたのだろう。この冷酷無比な男から愛されているだなんて、どうしてそんなことを思ったりしたのだろう。現に恭弥は何も答えようとしない。あたしとは目も合わせたくないとでも言うかのように、壁の一点を見つめている。

「…恭弥」

いつの間にか口から零れていたのは、目の前の男の名前だった。ああ、あたしは今傷付いているんだ。何も答えない恭弥に、そして伝える相手を失ったこの想いに。とっくに心は腐っていると思っていたのに、まだこんなに純然なところがあった。悔しいけれど、こんなにもこの男を愛してしまっていたんだ。どうしようもなくなって、部屋から出ようと足早にドアに向かった。ドアを閉める音と同時に聞こえた声はきっと、私の思い過ごしなんだろう。







 の




「僕の愛は、君を傷付けてしまうから」




 側




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