どきんどきんどきんって、心臓が耳のそばで鳴ってるみたい。ちょっとでも落ち着こうと深呼吸してみたけど逆効果で、余計に緊張してきてしまった…。放課後の校門は帰宅する生徒でいっぱいで、ひとりでぼーっと立っている私をもの珍しそうに眺めてくる。うわーなんかすごい目立ってない?なんで私がこんなとこにひとりでいるのかというと、つい2日前に告白されて私のか、かか彼氏になった山本武くんを待っているのです!実は私もまだよく分かってないんだけど、「俺のこと前から好きだったんだ。俺と付き合わねえ?」って言われて「え、あ、う、ももももちろん!」とかなんとかどもりながら言ったのは覚えてる。だってあの山本くんだよ!?校内でも1、2を争う人気者だよ!!?そんな人が私のことす、好きだなんて…!正直夢だと思ってたけど、昨日廊下ですれ違ったときにはにかみながら手を振ってくれたから、ああ現実だったんだって改めて実感してなんか恥ずかしくなった。今日は野球部が休みだから一緒に帰ろうって誘ってくれたんだよね。あ、やばい、なんかまたどきどきしてきた。静まれ心臓!私が制服をきゅっと握りしめた瞬間に「」って声がしたから慌てて振り向いた。

「は、はいっ?」
「あー、ごめんな?待たせちまって」
「ううん、ぜっ、全然待ってない!!」
「そっか?…んじゃ、帰ろーぜ」
「う、うん」

私と山本くんは並んで歩き出した。うーわーなんかみなさんからの視線をものすごく感じるんですけど…。さすが人気者さんだ…!ちら、と山本くんのほうを見ると特に気にした様子もなく普通に歩いている。鈍感なのか、ただ単に気付いてないだけなのか…私はとりあえず早く並盛中の近くから離れたいと思った。



「…、?」
「 っ、え?わっ」

気が付くと山本くんの顔が目の前にあったから、思わず変な声を出してしまった。

「なんか考え事?」
「え、っと…ん、まあそんな感じかな…」

って、私のばか!せっかく山本くんと2人で帰ってるのに考え事なんて、失礼極まりないじゃん!あーどうしよ、気悪くさせちゃったかも…。山本くんは何も言わずに前を向いて歩いている。なんか言ったほうがいいのかな。話題、とか?…うー、緊張しすぎて楽しい話題なんか出てこないよ!内心おろおろしながら俯いて山本くんの隣を歩く。ああ、やっぱり黙っててもかっこいいなあ。ほんとになんで、私のことなんか好きになってくれたんだろ…知りたいけど、聞けないよ…。そのまましばらく、気まずい沈黙が続く。少ししたところで不意に山本くんが立ち止まった。私も何事かと思って足を止めて山本くんの顔を見る。

「あのさ、…」
「は、はい?」
「俺といても、楽しくない?」
「え…」

いきなりの言葉にちょっと固まってしまった。た、楽しくない?って…いやいや、まさかそんな!楽しくないどころか恐れ多くてなんかもうどうしたらいいかよく分かんないんです… 私が口を開こうとすると、山本くんが遮った。

「…無理して付き合ってくれなくても、いいんだぜ?」

一瞬頭が真っ白になって、心臓がどくんどくんし始めた。頭が色を取り戻すよりも先に、口が開いていた。

「ち、違うよっ!」
「…え?」
「あ、あのね、楽しくないんじゃないの!ほんとに申し訳ないんだけど、何喋ったらいいのかなとか全然分かんなくて…、だから、つまんないんじゃないんだよ!すごい嬉しいの!ほんとなんか山本くんこそなんで私みたいなのと付き合ってくれてるのか心から謎なくらいで…えっと、だから……私、今すごい緊張してる…んだ、よね…」

語尾が自然と小さくなる。途中から恥ずかしいことを口走っているのに気付いて、かあっと顔に熱が集まるのが分かった。うわーもう山本くんの顔見れない…!恥ずかしい、恥ずかしすぎて穴掘って入りたいよ!!私が真っ赤になって俯いていると、いきなり山本くんがしゃがみ込んだ。

「や、山本くん…?」
「…あーもうなんか俺…どうしよ」
「え、なに、どしたの?」

私が恐る恐る近付くと、山本くんの耳がちょっとだけ赤くなっているのに気付いた。びっくりして目をぱちぱちしていると、山本くんが顔を上げて私を見た。その顔は心なしか赤いような気がする。

「…俺も」
「え」
「俺も、と一緒」

そう言って照れたように笑った山本くんを見て、私はまた顔が熱くなった。







が隣にいるのに、すげー緊張してる」

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